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むまいづみ の隠れ家的ブログサイト
by muma-izumi
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ラジアータ終了
「ラジアータ・ストーリーズ」終わりました。

ゲームとしては傑作ではなく、良作とすらいえませんが、
お話としては非常に考えさせられる、秀作だったと思います。

以下、ネタバレ含みますので、かまわない方だけどうぞ。



先にも書きましたが、ゲームとしては決して褒められたものではありません。
見づらいフィールドマップ、まったくマッピングされないダンジョン。
ゲーム2、3本分はあるかという数々の戦闘システムは、
結局のところ、どれもあまり有効には作用しません。

そして、現在自分が何のイベントを進行中なのかが一切表示されないため、
なにをすれば良いかのヒントもありません。
セーブ箇所がすごく限定的というのも今風ではありません。

そういう意味では、通常ならなんら感慨を持ち得ないゲームでした。

それでも、このゲームに関しては語るべきことがたくさんあります。


前もって言っておきますが、
私はいわゆる「妖精編」しか解いていません。

これは面倒くさい等のネガティブな理由ではなく、
このゲームに対する答えとして、
2周することがテーマに反すると判断したためです。
そのため、もしかしたら「人間編」にある程度の答えがあるのかも知れません。

というわけで話を戻します。

おそらく私の知るかぎり、
"たった一人の好きな人か、他の世界のすべて。どちらを選ぶか?"
というテーマをここまで莫迦正直に真正面から取り組んだ作品はありません。

こういうテーマが挙がる際、よく"どちらも得る"や
"どちらも選ばない第3の選択"といった方法で回避するものがありますが、
今作ではそのような中庸な選択はありません。
プレイヤーによって選択された答えは、その通りの結果をもって応えます。

つまり、"好きな人"を選択すれば、すべての人間達と、
"世界"を選択すれば好きな人と戦う結果になります。
そこには何の救いももたらされません

もしかしたらこのゲームの監督は、ものすごく悲劇好きなのかもしれません。
結論から言えば、どちらを選んだとしても悲劇しかありませんから。

かくいう私は

リドリーかわいいよ。かわいいよリドリー
なので、
もちろん"好きな一人を守るため世界のすべてを敵に回す"を選択しました。

そこから始まるドラマは今までになかった衝撃をもたらせてくれます。

この2択はゲーム後半からのものなのですが、
それまでは街の人間達との交流をひたすらに描きます。

というのは、街や城に居る人間達と交流することで
パーティーメンバーを増やすというシステムなので、
ゲームを円滑に進める上でも、
お気に入りのキャラや強い味方を得るなどの理由でも、
プレイヤーは能動的に動き回ることになります。

そうして、ある程度キャラクター達に感情移入したところで、
"選択"を迫られます。

人間に味方した場合は、好きな人と妖精達を敵に回します。
ここからは攻略情報でしか知りませんが、
最終的には人間以外のすべてを滅ぼし、人間だけの栄華を得るのでしょう。
このゲームの世界観では、それは将来的な滅亡を意味しますが。
まぁ、知らない話はおいといて。

さて、「妖精編」を選んだ後ですが。

こちらでは妖精達と力をあわせ、
それまで味方であった人間達と戦うことになります。

それは、それまでフィールドにいたモンスターが消え、
人間達が自分達を倒そうとフィールドに登場することで反映されます。
もちろん、以前までパーティーメンバーにしようと、
躍起になって関わっていたお気に入りキャラ達も例外なく、
無感動に襲ってきます。

また、味方である妖精は何種族かあるのですが、
そのどれもが人間形態ではあるものの、
どこか動物的・植物的特長を持った外見をしています。
平たくいうと、非常に好意を持ちにくい外見です。

こと、ここに至って、元味方と戦闘するという罪悪感、背徳感、
また、自分達以外には同じモノがいないのだという
疎外感を痛感させられます。

実際のところ、製作側がどこまでを狙ったかはわかりませんが、
わざと感情移入するまで接点も持たせたキャラを敵として登場させつつ、
新しく味方になった妖精には共感させにくいようにするということを、
すべて"計算"していたなら、とても精緻な演出だと思います。


そして最終局面。
今回の騒乱の元凶"らしきもの"を倒すことで、
エンディング"らしきもの"を迎えます。

その最後のシーンが、
主人公の君主的存在である妖精軍の王、ザインの狂笑。

最後にリドリーの口から、
「ザインもアルガンダースに侵されている」
という言葉もあるので、
最終的には、発狂した者の手により人間が滅ぶという未来はうかがえます。
また、世界観として、人間が滅んだ場合も世界は滅亡するとあります。

つまり、オチは
"好きな人は守ったかもしれないけど、世界の滅亡は変わらんよ?"
というもの。

まったくすっきりしない終わり方です。
エンターテイメントとして怪しいくらいです。


すっきりしないという意味では、「アルガンダース」がなんだったのか、
ということもあります。

アルガンダースとは、ゲーム中では
人や妖精が発狂し、滅びのきっかけとされる病気のようなもの
なのですが、
結局のところアルガンダースの正体とはなんだったのか、
という答えはまったく提示されません。

ヒント的なものとして、
最終局面で重要キャラが"世界の歪みそのものである"というセリフを口にすることと、
アルガンダースが巣くう城に、アークデーモンを名乗る中ボスが登場するのみです。

重要キャラであるクロスもすっきりしないもののひとつです。
クロスは妖精を憎み、滅ぼそうとしている騎士なのですが、
なぜ彼がそこまで妖精を憎んでいるかの理由は一切出てきません。
勧善懲悪の悪的存在として登場するのみです。

普段であれば、ストーリーの進行上の理由として、
彼はただの悪役としているのだということなのでしょうが、
伏線としてばんばん登場しているため、
プレイヤーが当然考えるであろう「?」である割にまったく回答を提示しません。

上記二つともが、ストーリーの重要な役割を持っています。
結局、その答えによっては、
もっとストーリーに別の結果を与えたかもしれない要素が、
他を排除せんとするかのように、かたくなにその根源を見せないままでした。

それゆえに感じのが、
製作はよほどの悲観主義者である
ということのみです。

まあ、わざわざ用意したテーマからして
その気はたぶんに感じるわけですけどね。



えらく長いですが、結局何が言いたかったかのというと、
エヴァの「オメデトウ」が好きな人にはおすすめ
ということです。

未来や、すべての伏線に対してまでとは言いませんが、
重要な回答は提示して欲しかったです。
よもや、「2」が出るわけでもありますまいに。
by muma-izumi | 2005-03-20 20:48
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